Photos: Saori Umebara
百戦錬磨の采配ピタリ。延長後半に長沢が決勝弾
過去の天皇杯で幾度となく繰り返されて来たジャイアントキリング。3日後に控えるJ2リーグ戦に備え、先発全員を入れ替えてきた清水が2連覇中のディフェンディングチャンピオンを破れば、まさしくそれは“大物食い”と言えただろう。
「立ち上がりは200%ぐらいの気持ちで入れ」(長谷川監督)。指揮官と選手それぞれに油断はなかったG大阪だったが、清水にも気後れはまったくなかった。
腰の引けたサッカーで対抗するのではなく、立ち上がりから局地戦で激しい戦いを披露。コンパクトなブロックでG大阪の個の力に立ち向かうと、北川と金子の2トップで時間を作り出しながら、要所でカウンターを繰り出す姿勢も垣間見せる。
「立ち上がりですぐに難しい試合になると思った」と丹羽が振り返ったとおり、前半は互いに決定機を作り出せない互角の展開が続いた。
後半は地力に勝るG大阪がギアを上げ、清水は守勢に回ったが、21歳のGK高木和が存在感を見せる。46分には呉屋がゴール前で反転して放った強シュートを防ぎ切ると、62分にも今野のクロスをフリーで合わせた呉屋のヘディングに反応する。
GKが大当たりし、試合終盤までスコアレスで推移。ジャイアントキリングが起きる要因はそろいつつあったが、過去3シーズン、国内のカップ戦すべてでチームを決勝に導いている百戦錬磨の指揮官は、ゴールへの道筋を確実に頭の中に描いていた。
「CKが続いていたし、遠藤のキックのタッチが上がってきていた」(長谷川監督)。82分に岩下に代えて長沢を投入。ゴール前での高さに期待を懸けた指揮官だったが、延長後半にその狙いが的中。112分に長沢が遠藤のCKから清水の堅守をこじ開けた。
「焦りはなかった」と狙いどおりの形で決勝点を演出した遠藤。清水は持てる力を出し切ったが、前人未到の三連覇を目指す青黒の地力には及ばなかった。(下薗 昌記)