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[日本代表]初めて貫いた信念/W杯アジア最終予選サウジアラビア戦試合後コラム

2016/11/18 6:00


Photo: Getty Images
 ヴァイッド・ハリルホジッチ監督が、初めて信念を貫いた試合だったかもしれない。「普段試合に出ているコンディションの良い選手を使う」。就任以降、長らく口にしてきた考えである。しかし、海外組が所属クラブでの出場機会に恵まれない現状の中、指揮官は毎回恨み節を言いながらも、結局は実績と経験のある選手を先発起用してきた。
 今回、「監督も賭けに出たのかもしれない」(清武弘嗣)と選手たちからも受け止められるように、大迫勇也や原口元気、久保裕也といった、クラブでのプレー頻度が多い選手を起用する決断を下した。そしてその判断が、吉と出たのだった。
 16年最後の試合を終え、主将の長谷部誠はあらためて監督の印象をこう語った。
「タイ戦では岡崎(慎司)が先発から外れ、今回は(本田)圭佑と(香川)真司も外れた。思い切ったチャレンジをする監督だと感じる。監督は物事をメディアにも正直に話すので誤解されやすいこともある。選手にも直接的な言葉がくるので、多少誤解があることもある。ただ日本にはグイグイ引っ張っていくリーダーも必要。若い選手にも、『思考が違う人とも付き合っていくことで自分も成長できる』という話をしている」
 さらに長谷部は、サッカースタイルの顕著な変化についても触れた。
「ブラジルW杯では自分たちのサッカーを貫き、実際に勝てなかった。いまの監督で相手のやり方によって臨機応変に戦うようになった。先月のオーストラリア戦はこれまでと全然違う戦い方だった。成熟度はまだまだだけど、相手やホーム&アウェイの状況によって、今後も戦い方はどんどん変えていくと思う」
 ハリルホジッチ監督のチームマネジメントは盤石とは言えない。人心掌握を含め、綱渡りの印象が残る。それは、日本人や日本サッカーとの価値観の齟齬とも言い換えられる。どちらが良い悪いではない。必要なのは、差異を埋める共感力。言葉にするのは簡単だが、頑固な指揮官の言動は今後も読めない。(西川 結城)

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