前節のフクアリでの千葉戦(2●1)。後半ロスタイムに見事な逆転ゴールを流し込み、そのままアウェイ側のスタンドにハイスピードで駆け寄っていく内村の姿を見て、11年の前回昇格時がフラッシュバックした。あの年も終盤に連敗して苦しんだ。「ここで勝てなければヤバい」。そんな空気が漂いつつあった中で迎えた敵地・徳島戦(10月26日の第7節・2●0)、見事な得点を挙げた内村はこのときもシュートを決めた勢いそのままにアウェイ側のスタンド方面へと駆けていった。そして最終節(2●1)では、超満員の札幌ドームでFC東京を粉砕する2得点を挙げ、チームをJ1へと押し上げた。「ここで決めればオイシイ」。チームが重圧に包まれる中でも内村は虎視眈々と狙っていた。昇格といえばやはり内村。そんな雰囲気がここにきて漂いつつある。
そして都倉だ。今季は開幕から着実に得点を重ねてきたが、終盤になって少し失速気味。だがこちらも前節の千葉戦で、相手に先行され、ボールも支配される苦しい展開の中でセットプレーからしぶとくネットを揺らして試合の流れを変え、前述の内村の得点を生み出すドラマチックなストーリーを描いてみせた。都倉は言う。「とにかく、どんな展開でも構わないから2位以内で最終節を終えられればいい。それを成し遂げるためだったら、歯を食いしばって、はってでも相手ゴールを目指していく」。
振り返れば、今季の札幌は堅守を武器に首位を走ってきた印象も強く、ウノゼロが代名詞となる時期もあった。だが、そうしたギリギリの勝利のあと、内村も都倉も口をそろえてこう言い続けた。「逆に言えば、2点目を取れてないということでしょ?」
点取り屋には、彼らにしか分からない思いがあるのだろう。得点後の歓喜の裏には、さまざまな感情があったはず。だが、そうした積み重ねを自らの足でJ1昇格へと結実させることができる日がついにやってきた。ストライカーとしての矜持を見せ付けろ!(斉藤 宏則)