いつだって、そこには鹿島がいた。初めてJ1の舞台に挑戦した00年、リーグ戦は最下位に終わったものの、ナビスコカップ(現・ルヴァンカップ)で決勝に進出。しかし、鹿島に0-2で敗れ準優勝に終わった。そして、この敗戦を皮切りに川崎Fの“2位の歴史”が刻まれていく。06年、08年、09年とJ1リーグ戦で2位に終わった中、08年と09年の王者はともに鹿島。これまでリーグ戦とカップ戦で川崎Fは6度の2位を経験しているが、そのうち半分を鹿島に阻まれてきた。「(優勝を)阻まれてきたという印象はある」。こう語るのは中村憲剛に次いで川崎Fの在籍年数が長い井川だ。そして、中村憲剛は強くこう口にした。
「チャンピオンになるためには鹿島を越えなければいけない」
リーグを代表する常勝軍団である鹿島と、勝負弱さが抜けずに“シルバーコレクター”と揶揄され続け、いまだ無冠の川崎Fは対照的なクラブだ。ただ、「05年にJ1昇格してから五分(以上)の数字を出している」(中村憲剛)のも事実で、公式戦15勝5分11敗と勝ち越している。とはいえ、タイトル獲得数においては歴然とした差がある。この差は一朝一夕に埋められるものではないが、まず一つ、タイトルホルダーになることが鹿島に迫る第一歩となる。
川崎Fが本当に強いチームになるためには、結果が必要だ。これを求められ、逃し続けて久しいが、今季は絶好のチャンス。だからこそ、これを逃したくない。そして、チャンピオンシップ準決勝の相手が鹿島というのも何かの縁だろう。今までタイトル獲得を阻まれ続けた鹿島を叩くことができれば、自分たちの進化を証明することにもなる。
「優勝するために戦うメリットはある」。井川もこの対戦をポジティブに捉えている。初戴冠を成し遂げるため、鹿島の壁を越えていく。常勝軍団を討ち、川崎Fは歴史を変える。(竹中 玲央奈)