■セレッソ大阪
耐え切れなかった決戦から1年。C大阪は“ラスト8分”を乗り越える
J1昇格プレーオフ決勝を4日後に控えた11月30日。練習場のピッチには普段と変わらぬ選手たちの姿があった。過度に入れ込み過ぎる様子はない。「プレッシャーよりも、良い意味で『やってやる』という決意のほうが上回っている」(大熊監督)。
練習では、岡山を見据えた対策も行った。リカルド・サントスを赤嶺に見立て、クロスが入ったあとの対応やポジショニングを確認。「競ったあとのカバー、予測を頭に叩き込んでプレーしたい」。山下はそう話す。岡山の武器がセットプレーとクロスであることは、シーズンを振り返っても、松本との準決勝を見ても明らか。ゴール前での競り合い。こぼれ球への対応。この攻防が勝負を分ける。ただし、パスを出せる選手、裏に抜ける選手がいることも岡山の特長。空中戦だけではなく、地上戦にも注意を払いたい。
昨季のJ1昇格PO決勝・福岡戦(1△1)では、1-0で迎えた試合終盤、ロスタイムを含めた残り8分間を耐えることができなかった。「ラスト8分を乗り越える」(大熊監督)。この言葉から始まった今季。その集大成を見せる時がきた。もっとも準決勝の京都戦(1△1)では、立ち上がりで受けに回らず先制したことが試合展開を優位にした。今週の練習でも、攻撃では縦への意識付けがなされており、積極的にシュートまで持っていく姿勢は随所に見られた。競ったスコアで試合終盤を迎えるのではなく、1点、2点とどん欲に得点を狙い、「勝って」(山口)J1昇格を決める。
フォルランが加入し、初タイトルへの機運が高まった14年に起こった“まさか”のJ2降格。涙に暮れたJ1第33節の鹿島戦(1●4)から2年が経った。J1へ返り咲く。そのために、桜の戦士たちは試合終了の笛が鳴るまで走り抜く。(小田 尚史)
■ファジアーノ岡山
息づく準決勝の成功体験。岡山は“残り15分の勝負”を制す
準決勝で松本を2-1で退け、リーグ戦6位の岡山がJ1昇格プレーオフ決勝に勝ち上がった。準決勝が終わった直後から長澤監督が「まだ何も成し遂げてはいない」と何度も口にしているように、準決勝の勝利は決勝進出の権利を得たに過ぎないが、下克上を成し遂げた準決勝の成功体験はチームに息づき、勢いと自信をもたらしている。キンチョウスタジアムで岡山が厄介な挑戦者となることは間違いないだろう。
粘り強くしたたかに戦って試合終盤を1-1で迎え、後半ロスタイムに勝ち越し点を奪った準決勝の試合展開をなぞることが、岡山がJ1へ進む最も現実的なルートだ。「また残り15分の勝負になると思うし、その展開で自分に出番がくると思う。そこで決着をつけられるか、つけられないか」とジョーカーの豊川が描いている展開に持ち込み、リスクを冒して総攻撃をしかけJ1への扉をこじ開けたい。
そのため、まず岡山がやらなければいけないことはC大阪に得点を許さないこと。準決勝は松本の攻撃をエリア内ではね返し続けたが、C大阪には柿谷をはじめ個の能力が高い選手がそろうためエリア内で守っていてはこじ開けられる危険性が高くなる。よって、ペナルティーエリアから相手を遠ざけることが重要になるだろう。「セレッソは松本ほど押し込んでくるサッカーをしないから、松本戦より自分たちがボールを握る時間は多くなる」(岩政)ため、矢島と伊藤が中心になってパスをつなぎゲームをコントロールしていく、今季展開してきたサッカーを見せていきたい。
「選手の人生も変わるし、クラブの未来も変わる」(長澤監督)。この一発勝負に懸かっているものは大きいが、だからと言って求められるのはよそ行きのサッカーではない。今季培ってきた岡山のサッカーだ。(寺田 弘幸)