確かに見せた前進。浦和は強くなっている
ミハイロ・ペトロヴィッチ監督が就任して5年目。数字として一つの区切りともなる今季、チームはタイトル獲得に向けて並々ならぬ意欲を燃やしてきた。
悲願に向けてペトロヴィッチ監督は新たな戦術を取り入れた。それは素早い攻守の切り替えと前線からのプレッシング。厳密に言えばこれまでまったく行ってこなかったわけではないが、キャンプからペトロヴィッチ監督が指導、意識付けを行い、チームとして明確な意図を持って取り組んだ。
その成果は如実に表れた。リーグではホーム開幕戦の磐田戦(1st第2節・1○2)こそ敗れたが、ほぼハーフコートゲームで相手を圧倒する試合が続き、1st第8節・川崎F戦はステージ優勝を争っていた相手を攻守の切り替えで圧倒し、1-0というスコア以上の完勝を収めた。
夏には新加入でレギュラーの座をがっちりつかんだ遠藤とエースの興梠がリオ五輪でチームを離れたものの、守備では昨季までレギュラーだった那須がその実力と経験を存分に発揮し、遠藤の穴を埋めて余りある活躍を見せた。攻撃陣では興梠と“KLM”を組んだ李、武藤が奮闘。さらにリオ五輪後、興梠が燃え尽き症候群のような格好で調子を落とすと、ルヴァンカップをきっかけに高木がブレイク。選手層の厚さを見せ付け、年間勝点1位獲得に向け、邁進する。
そしてルヴァンカップ決勝ではPK戦の末にG大阪に勝利(1△1・5PK4)し、9年ぶりのタイトルを獲得した。一方、リーグ戦でもその勢いは止まらず、2ndステージを制覇。最終節の横浜FM戦は1-1で引き分けたものの、最大の目標に掲げてきた年間勝ち点1位に輝いた。
チャンピオンシップ決勝はアウェイでの第1戦を1-0で制しながらも、ホームでの第2戦を1-2で落とし、アウェイゴールの差で優勝できず。またも最後の最後で頂点を逃した。本当の勝負強さを手にすることはできていなかった。ただ、この1年を通して浦和は戦術面でも精神面でも確実に成長を遂げた。それは来季、6年目を向かえるミシャレッズ、そしてその先のチームへとつながる“収穫”だった。(菊地 正典)