Photo: Atsushi Tokumaru
疲労を上回る決勝進出へのモチベーション
右の前歯が欠けたまま昌子は「ここまで来たら」と言った。鹿島は日本勢初となるクラブW杯決勝進出を目指して、コロンビアの強豪アトレチコ・ナシオナルとの準決勝に向かう。
これまでの対戦相手は、ほぼ初顔合わせの相手だったが今度は違う。同じコロンビアのクラブであるサンタフェと今年8月にスルガ銀行チャンピオンシップで対戦している(0●1)。過去にも12年、13年と同大会で南米勢と対戦しており、準々決勝のマメロディ・サンダウンズ戦(2○0)のように相手のやり方に面食らうようなことはないだろう。
ただし、これまでの相手とはレベルが違うことも確かだ。コロンビア代表の新星ボルハ以外にもタレントは多くそろう。過去2戦のように、自分たちのミスからボールを手放すような戦いをしていては、いくら粘り強く戦えている今大会の鹿島でも守り切るのは難しい。最高の準備を進める必要がある。
条件も厳しい。中2日の連戦が選手の重い足枷となるのは間違いない。幸い小笠原や金崎に負担をかけずに準決勝に勝ち進むことには成功したが、両SBを筆頭に疲労は着実に積み重なっている。
しかし、選手に疲れた様子はない。
「次を勝てば決勝。モチベーションは高い」
試合翌日、植田は世界最高峰の相手と対戦できるチャンスが目の前にあることに、武者震いしているようだった。
同じく「レアルとやりたい」と話していた永木は「いまチームもすごい勢いがあるし、スタッフも含めてみんなで乗り切ろうという雰囲気の中でやれている」と胸を張る。
条件が不利なのは百も承知。疲れや相手を怖れる気持ちより、夢や希望のほうが勝っている。(田中 滋)