32歳にして進化し続ける男
その結果にはすべて裏付けがある。チョン・テセが今季残した26得点10アシストという脅威の数字は、才能だけでつかんだわけではない。
今季序盤はけがで開幕から出遅れ、ようやく先発に戻っても小林監督からはFWの柱として認められていなかった。早めの途中交代やベンチスタートのときもあった。その立場に甘んじることを良しとしなかったチョン・テセは、練習場までの行き帰りを自転車で往復し、また、一人2部練習で汗を流して、体脂肪を8%にまで戻した。そして、いつしかJ2得点ランクでトップに上り詰め、絶対的な地位を獲得することになる。
ただ努力は、これだけではない。大前の負傷後、「攻撃を引っ張るのは自分」と意識的に取り組んだセットプレーもそうだった。第19節・千葉戦(1△1)で挙げた衝撃の直接FKは「ピッチに立っているチームメート全員が入ると思っていなかったと思う」(チョン・テセ)というものだったが、それも全体練習後に個人練習を積み重ねてきたからこそ。また、第22節・熊本戦(4●0)では「もともと苦手だった」というPKを決めているが、その後も練習を続け、その次に回ってきた天皇杯2回戦・水戸戦(3●0)では「いまは枠にいったら100%入る」と、PKを完全にモノにしていた。
自ら課題を見付けて、それに対して努力する。当たり前のことかもしれないが、今季も一つずつ課題をつぶしていったことが、32歳となったいまでも進化を続ける要因になっているのだろう。(田中 芳樹)