逆境を乗り越えた先にあった必然のブレイク
リーグ戦31試合出場8得点、ルヴァンカップ8試合出場2得点。J1初挑戦となったシーズン、江坂の残した成績は見事というほかない。2nd第9節・仙台戦(2○1)や2nd第12節・川崎F戦(3○2)での得点のように、印象的な決勝点も多く、紙一重の試合で勝ち切ることの多かった今季の大宮を象徴する存在だったと言っていい。
終わってみれば飛躍のシーズンとなったものの、スタートから順風満帆だったわけではない。開幕戦で先発の座を狙うと公言してギアを上げていったが、1次キャンプ終盤の練習中に負傷。初のJ1開幕戦には間に合わず、一方でチームは2連勝と最高のスタートを切った。大きな出遅れとなってしまったことは間違いない。
しかし、自身のサッカー人生において逆境を乗り越え続けてきた男は、折れることなく次のチャンスをうかがう。1st第3節・G大阪戦(1●2)で途中出場して大宮デビューを果たすと、1st第4節・広島戦(1●5)にも途中出場。チームは大敗を喫したが悪くない動きを見せ、「けがで出遅れていたぶん、1-5で負けたということは自分にとってはチャンス」と強気に語った。
その後はルヴァンカップでの活躍も含めてアピールに成功し、徐々に大宮での地位を確立していく。本人が何よりもこだわる“結果”によって周囲の信頼を勝ち取った側面もあるが、それだけがすべてではない。 まず挙げられるのが、豊富な運動量を生かした攻守両面でのハードワークだろう。単に前線から追いかけるだけでなく、周囲の選手にも要求しながら相手を追い込み、攻撃に移ってもサボらずにポジションを取り直し続ける。そしてハードワークが根幹にあるからこそ、前線のすべてのポジションで遜色ない働きを見せ、重宝される存在となった。
有言実行で結果を残し、そこにあぐらをかくことなく、多様な貢献を約束してくれるアタッカー。江坂のブレイクは必然だった。(片村 光博)