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鹿島が延長前半に加勢し、6年ぶりの栄冠
前半から川崎Fが押し込んだが、鹿島の選手たちは慌てなかった。自分たちの前でボールを回させても「中を通させず我慢すればチャンスは作れる」(永木)と意識を統一して機会をうかがう。
すると42分、分析担当から「チャンスができる」と言われていたセットプレーで鹿島が先制点。右CKから遠藤が鋭いボールを送ると、少しマイナス気味にきたクロスを山本がうまく頭で合わせ、ゴールへ流し込んだ。相手の時間帯をしのぎ、少ないチャンスをモノにする。この1カ月で何度も見た展開を、天皇杯決勝でも見せ付けた。
先にゴールを奪われた川崎Fは、後半から三好を投入して攻撃のギアをさらに上げる。鹿島は足に違和感を感じながらプレーしていた山本を下げ、ファン・ソッコを左SBに入れて後半に臨んだ。
54分、その三好が得点に絡む。大島のクサビのパスを小林がスルーすると、その先にいた三好が昌子を置き去りにした小林に絶妙なパスを送る。絞ってきたファン・ソッコに競り勝った小林がゴール左に蹴り込み、ようやく攻撃を実らせた。
その後も小林が決定機を迎えるが、1度目は昌子、2度目はポストに阻まれ、3度目はシュートではなくクロスを選択すると西にクリアされ天を仰ぐ。試合は90分では決着がつかず、延長戦に突入する。
ここ1カ月あまりで10試合目の鹿島は延長に入ると不利かと思われたが、運動量が落ちたのは川崎F。
「向こうが点を取ったあとくらいから運動量が落ちたのが分かった。延長になってもっと落ちた」(永木)と見るや、延長前半に鹿島が一気に攻め込む。
94分、相手のクリアをヘディングでつなぐと、最後はファブリシオが右足を一閃。「一人、二人欠けて崩れるようなチームではない」(小笠原)というチーム力を見せた鹿島が、リーグに続き6年ぶり5回目となる天皇杯制覇を成し遂げた。(田中 滋)