Photo: Norio Rokukawa
選手権2回戦でまさかの敗退
J1新潟に加入が内定している市立船橋の原輝綺。昨年10月にはU-19日本代表の一員として、U-20W杯への出場権が掛かったAFC・U-19選手権での優勝に大きく貢献した。今年5月・6月に韓国で開催されるU-20W杯でも活躍が期待されているだけに、高校サッカー選手権でも彼のプレーに期待が集まった。
しかし、1月2日に行われた2回戦・前橋育英戦。チームはPK戦の末に敗れ、彼の高校サッカー人生は終わりを迎えた。
総体王者として挑んだ最後の選手権。王者として相手に追われるプレッシャーや、市立船橋史上初の夏冬二冠を目指すという重責。そして、1回戦でU-19日本代表・岩崎悠人擁する優勝候補・京都橘と対峙したことはチームマネジメントを難しくさせ、2回戦で前橋育英に敗北する要因になったのは確かだ。原自身もピークを初戦に合わせたことや、激闘を制したことによる疲労が2回戦に残っていたようだ。
最大の武器は「メンタリティー」
それでも、彼のプレーはいつもと変わらなかった。身体能力の高さで相手を凌駕する空中戦の強さや、豊富な運動量を生かしたプレーエリアの広さ。球際での強さを前面に押し出したボール奪取能力は明らかに周りと違った。
一方で試合中にチーム全体をコントロールするという部分では、物足りなさを露呈してしまった。「今までは解決してきたけど、(前橋育英戦で)ピッチの中で解決できなかったことが一番の敗因」と本人も語る。この点は今後に向けて、取り組むことが必要な課題だろう。
ただ、敗戦の悔しさを正面から直視した原の言動を見れば、今後の伸びシロに期待したくなる。試合後、涙を見せるチームメートたちの傍らで気丈に振る舞う彼の姿があった。一人ひとりに手を差し伸べ、整列をした時の彼の目線は下ではなく、力強く前を向いていた。それは試合後のコメントからも読み取れる。
「内容が悪くても勝たないといけない。勝てなかったことがすべてだった」
負けた直後にもかかわらず、仲間に言葉を掛け、謙虚に敗北を認める心の強さを持った18歳の若者はそういない。「しっかりとしたパーソナリティーを、サッカー以外でも持っていた選手だと思う」と朝岡隆蔵監督。このメンタリティーこそ、彼の成長を支える礎なのは間違いない。
今後はプロの世界に飛び込む。1カ月も経たないうちに新潟のキャンプが始まり、リーグ開幕まではあっという間だ。
その中で、再び敗北を味わうこともあるだろう。しかし、そのたびに彼は高校サッカーで味わった悔しさを思い出し、競争に打ち勝っていくに違いない。彼のメンタリティーを持ってすれば、高校サッカーで培った経験値を、未来への掛け橋の土台とできるはずだ。
「感謝の気持ちを忘れずに、次のステージで活躍をしたい。結果を出していくことが恩返しになる。まずは試合に出て活躍できるように新潟の地でやっていく」。原はそう誓った。(松尾 祐希)