Feature 特集

[敗れ去りし者たちの物語]【京都橘】京都橘の“勝負の年”は最高の試合で終幕/高校サッカー選手権 特集

2017/1/9 16:28


Photo:Norio Rokukawa
 怪物FW岩崎悠人が3年生を迎える2016年度。普通に考えれば、京都橘にとって“勝負の年”なのだが、まったく平坦な道ではなかった。
 春休みの船橋招待大会では市立船橋に1-3と敗北。内容的にも厳しいものがあり、前途は多難だった。エースで主将の岩崎はU-19日本代表への招集でチームを離れることが多く、小さからぬ意識のギャップも生まれつつあった。夏の高校総体では守備陣が乱れて2回戦で日本航空に苦杯(2△2・3PK4)。プリンスリーグ関西でも6位と平凡な成績に終わっていた。「決してうまくいっていた1年ではない」。米澤一成監督の述懐は、偽らざる本心だろう。だが同時にこうも言う。「選手権予選が終わってからの1カ月余りは、本当に充実した練習ができた」。同じ言葉は主将の岩崎からも聞くことができた。
 選手権初戦の相手は総体王者の市立船橋。最悪の組み合わせに思えたが、「みんな盛り上がりまくった」とGK矢田貝壮貴が笑うように、モチベーションを発火させる材料として作用した。変なプレッシャーもない中、チームは“打倒市船”という分かりやすい目標の下で一致団結。最高の準備をしながら臨んだその試合は、期待に違わぬ大熱戦となった。「みんな、ホントにすごかった」。試合を終えて岩崎はそんな言葉で振り返った。個々の力でも組織力でも劣勢だったが、気持ちの強さで土俵際にて踏みとどまり続け、岩崎という巨砲による“うっちゃり”を狙う。0-1という敗戦だったが、本紙カメラマンの六川則夫氏が「大会ベストゲームが1回戦で出た」と評していたとおり、京都橘の2016年度は最高の試合を演じた上で終幕を迎えることとなった。(川端 暁彦)

関連カテゴリ

EG 番記者取材速報

League リーグ・大会