獲得競争で劣勢も、玄人好みの着実な戦力アップ
7月加入予定の“タイのメッシ”ことチャナティップ・ソングラシンをのぞき、新たに移籍加入の6人はJ1で確かな実績を持つ選手。玄人好みの着実な戦力アップは果たせた。ただし、そのうち4名の加入発表が1月に入ってからだったことを考えても、移籍市場では若干、劣勢を強いられたことは容易に想像がつく。複数ポジションで他クラブとの獲得競争に敗れた模様だ。ただし、浦和による福森の引き抜きが失敗に終わったことからも分かるように、移籍市場で思惑どおり優位に立てるクラブなど存在しない。過度にネガティブに捉える必要はないだろう。派手さはないが、意図の明確な戦力補強は叶っている。
新戦力の顔触れを見る限り、補強のポイントはハードワーカーだ。金園英学、早坂良太は前線でアグレッシブにボールを追い、運べる。田中雄大は左サイドでのアップダウン。キム・ミンテ、横山知伸、兵藤慎剛は運動量が多い上に複数ポジションでプレーでき、献身的に水を運べる。計算の立つメンツだと言える。
派手さはない、と前述したが、そこも一つのキーポイントになり得る。昨季はJ2優勝を果たし、3人のブラジル人選手も当たり、ある程度チームの輪郭やストロングポイントができ上がっている。その意味でも新戦力はどの選手も、個人で何かをするよりも周囲とうまく関わりながら仕事をするタイプのプレーヤーばかり。既存の料理に新たな食材を投入するのではなく、あくまでもベースとなる味を第一義としながらも、隠し味のように全体の味を調えたり、より際立たせたりする。そんな戦力補強と言えそうだ。J1を勝ち抜けるか否かは別の議論となるが、ひとまずは補強のコンセプトは明確だったと評せる。(斉藤 宏則)