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[男たちの決断。新たな船出]【鳥栖】自己改革で培ってきた資質を開花させるとき

2017/1/21 6:00



GK 林 彰洋
 13年途中、思いがけない形で加入した鳥栖の地を離れる決断は容易ではなかった。清水に在籍していた当時、アフシン・ゴトビ監督との関係悪化により、出場機会を失った。そんなとき、救いの手を差し伸べたのは鳥栖だった。J1残留争いの渦中にあった鳥栖だが、林の加入で守備を立て直すと残留を達成。以降、林は鳥栖にとって欠かせない存在となった。
 近年は18年ロシアW杯出場を目標に掲げ、プレー面はもちろんのこと、ピッチ外のあらゆる面でも自己改革を施してきた。日本代表に呼ばれても、出場機会を得られない。西川周作(浦和)、東口順昭(G大阪)、川島永嗣(メス/フランス)といった面々を超えるために、自分を変えるために、真摯に自身と向き合う時間を増やした。昨季終盤、チームのトレーナー付き添いの下、練習終了後に長い時間をかけてGKとしての動き一つひとつを事細かに確認。帰宅は直前の選手から1時間以上もあとのこと。もちろん、最後だった。さらに食事も見直し、体脂肪率も減少。肉体の締まり具合は目に見えて明らかだった。「鳥栖でタイトルが獲れると本気で思っている」と話していたように、決して鳥栖の環境に不満があったわけではない。移籍理由の一つには祖母の存在もあった。おばあちゃん子でもあった林は、関東圏で試合があればオフも利用して実家に帰ることが専ら。「103歳の祖母に試合を見せたかった」。地元である東大和市に近いFC東京からのオファーに気持ちは揺れた。祖母への思いもあり移籍を決断したが、その後祖母は逝去。叶わぬ夢となってしまった。
 鳥栖の伝統である犠牲心やチームの和、言い合える関係性の中で林は大きく成長してきた。FC東京という個性あふれるタレント集団の中でも林は鳥栖で培ってきたものを発揮するはずだ。GKとしての能力に疑いの余地はない。集団をまとめ上げる力。林はタイトル獲得のために必要な資質を持っている。(杉山 文宣)

林 彰洋(はやし・あきひろ)1987年5月7日生まれ、29歳。東京都出身。195cm/89kg。柏レイソル青梅JY→流経大柏高→流通経済大→プリマス・アーガイル(イングランド)→シャルルロワ(ベルギー)→清水を経て、13年8月に鳥栖に加入。17年、FC東京に完全移籍。J1通算144試合出場。日本代表。

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