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[徳島]徳島で始まった、若きスペイン人監督の挑戦/EG FEATURES

2017/1/23 6:00


Photo:Satoshi Kashihara
博士号を持つ異色の経歴
 クラブ初の外国人監督となったスペイン人のリカルド・ロドリゲス監督。経歴に目を向けると、真っ先に視線を注いでしまうのがオビエド大(スペイン)で『博士号』を取得していることだ。既存の監督イメージからすれば、異色の経歴だろう。
 ロドリゲス監督も若かりしころは、プロ選手になる夢を抱いていた。しかし、17歳で左ひざの前十字じん帯を負傷。けがの影響で選手をあきらめざるを得なくなり、新しい夢として指導者を志すようになった。
 だが、その時点で「私は何も知らない」と気付き、大学入学を決意。指導者と直結するものではないと考える方もいるかもしれないが、「スポーツ科学を専攻し、サッカーの戦術や技術だけでなく、さまざまな角度から考えられるようになった。例えばフィジカル的な要素、方法論、心理的な部分、栄養学も学んだ」と大学で得た知識が後の指導者人生に大きな影響を与える。
 そして、カギになったと話すのが、「24歳のときにレアル・オビエド(当時スペイン1部/現2部)のクラブスタッフに入れたこと」。スタッフとしてオビエドに所属した5年間、大学で学んだことが役に立っていることを再認識し、本格的に監督を志す。その後、メキシコにあるレアル・マドリーのスクールで第一監督になり、U-17サウジアラビア代表監督、ジローナ監督(スペイン2部)、タイリーグの3クラブで監督として実績を積んだ。同じアジアである日本も「近い存在」になり、気付けば日本での監督業が一つの目標になっていった。

目標だった日本での監督業が実現

 そして、17年。徳島で、その夢を実現。初対面となった記者会見で真っ先に抱いた感想は、「情熱的かつ知的」。昨年11月29日の公式リリース時には未知の存在だったスペイン人監督が、記者会見を境に、42歳と若々しく、期待感を抱かせる徳島の指揮官へと変わった。
 そのロドリゲス監督が掲げるコンセプトは『ポジションプレー』。ポゼッションという響きに似ているが、その本意は似て非なるもの。ボール保持が目的ではなく、より効果的にゴールへ向かうために選手たちは適切なポジションを取ってボールを循環させながら組織的に動いていく。分かりやすい例えとして「ジョゼップ・グアルディオラ監督時代のバルセロナ、ホルヘ・サンパオリ監督時代のチリ代表、トーマス・トゥヘル監督のドルトムント」を挙げ、特にグアルディオラが志向したスタイルを示した。
 トレーニングが始動するとその練習内容は興味深く、始動日から激しいコンタクトプレーのあるゲーム形式を取り入れ、GKもフィールドプレーヤーと混ぜ、0-1のビハインドを想定した状況で臨ませるなど、刺激のある練習を重ねている。と思いきや、高知キャンプでは午後の練習をオフにして、チームの団結を深めようとボウリング大会を開催するなど、その一挙手一投足から目が離せない。
若きスペイン人監督、若き選手中心の編成となった新生・徳島ヴォルティス。その全貌はまだ明らかではないが、チームはフレッシュでパッションあふれる空気に包まれている。(柏原 敏)

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