Feature 特集

[男たちの決断。新たなる船出]【神戸】結果を追求する稀代のトリックスター

2017/1/24 6:00


FW 石津 大介(神戸→福岡)

 冷気が覆ういぶきの森球技場。昨年11月30日にチーム活動を終了し、オフに入った神戸だが、12月5日午前、練習場には数名の選手の姿があった。三原や前田のリハビリ組が来季を見据えてランニングを行い、契約満了となり、トライアウトに臨むGK松澤は、練習に付き合った吉田孝行コーチやGK徳重と一緒にGK練習に励む。そして、跳ねるような独特の走り方でジョギングする石津の姿も。石津は昨季限りをもって期限付き移籍が満了。数日後、福岡に活躍の舞台を戻すことが発表された。 神戸でプレーしたのは2年半。その華麗なプレーは何度もサポーターを虜にしてきた。吉田コーチに「あいつのターンはすごいよ」と舌を巻かせた柔らかいタッチからクルリと回る“前を向く”動作は絶品だ。密集のわずかなスペースで、ボールを軸にして小躍りするように体の向きを変える。トリックスターとの形容がピタリとハマった。
 得点を意味する「結果」というワードを使う選手は多い。その中で、この2年半の間、記者に対して最もこの言葉を使ったのは石津だった。得意の左サイドでの出場機会は限られ、外国籍選手の“個”を生かしたカウンター型のチームスタイルもアゲインストの風を吹かせた。神戸で記録したJ1リーグ戦得点数は『6』。“数字”に物足りなさを感じていたのは、石津本人だった。
 12月5日の芝生の上で、石津はあまり笑顔を見せてくれなかった。それでも、三原や前田、松澤、徳重、吉田コーチらと行ったボール回しでは、爆笑が澄んだ空気を切り裂く中で、石津も楽しそうに笑顔を見せる瞬間があった。チームは活動を終え、練習を見守ったのは記者と、その日に偶然、練習場に立ち寄った一人のサポーターだけ。稀代のトリックスターに観客が二人だけとは贅沢過ぎた。楽しそうに活躍する石津をサポーターは待っている。(小野 慶太)

石津 大介(いしづ・だいすけ)
1990年1月15日生まれ、27歳。福岡県出身。173cm/71kg。新宮FC→福岡大大濠高→福岡大→福岡を経て、14年8月に神戸に期限付き移籍で加入。17年、福岡に復帰。J1通算59試合出場6得点。J2通算91試合出場20得点。

関連カテゴリ

EG 番記者取材速報

League リーグ・大会