横浜FMが挙げた3ゴールはいずれも素晴らしい手順と選手だった。
主導権を握った前半は、中島の鋭いパスを受けた富樫が巧みなターンから狙いすましたシュートを決める。後半に入って直接FKから失点したが、62分にプロ3年目の中島がインサイドキックながら地をはうグラウンダーのシュートを突き刺した。そして83分、扇原の見事な縦パスに抜け出した途中出場の仲川がGKをあざ笑うかのようなループシュートでゴールネットを揺らす。前線の点を取るべき選手のゴールで今季の対外試合初戦を勝利で飾った。
横浜FMはエリク・モンバエルツ監督3シーズン目を迎えたが、チーム戦術に大きな変更はない。システムも慣れ親しんだ[4-2-3-1]で、タイにやってきてからはフィジカルトレーニングを行うと同時に戦術面の落とし込みにも時間を割いた。特に新加入選手がチームの戦い方を体感し、既存選手と特徴を理解し合うことが大きなテーマだった。新加入の扇原はこの試合でアシスト以外にも展開力を発揮し、先発した松原と高野はSBに求められる攻守の原則を守りながらプレーしていた。「連係の部分で少しズレがあった」(高野)のは当然で、トライ&エラーを繰り返すことで完成度を高めていきたい。
一方で課題も見えた。前半はゲームをコントロールしながら1-0で折り返したが、後半はメンバーチェンジを繰り返した影響もありバランスを崩した。平均年齢が若返ったチームは一度失ったリズムを取り戻すのが難しく、点を取り合う形で不安定さを露呈した。前半のみで退き、後半はベンチから見守った中町は「後半は若いサッカーになった。行けるときは行けるけど、相手に行かれてしまう場面もあった」と指摘する。
試合運びや試合の終わらせ方という点で、横浜FMは大きな問題を抱えている。それは始動から日が浅くフィジカル的に厳しいことが原因ではない。図らずもチームとしての経験値の低さが浮き彫りとなった。(藤井 雅彦)