Photo:Jun Matsuo
新監督の下、見え始めた新しい甲府の輪郭
隣の芝は青く見えるものだが、新監督を迎えたこの時期は自宅の芝も青く見える。吉田達磨監督の下、甲府の一次キャンプ(静岡県)は初日からゲーム形式のメニューでスタート。「選手は戦闘モードに入ってくれると思う」と吉田監督は話し、選手は歓迎して意欲を高めた。練習前にピッチ一面に並べられるコーン、マーカー、ダミー人形などは前衛的なアートのように緑のピッチを彩る。綻びを放置しては長いシーズンを戦えないので、内容は基本から。だが、選手の向上心はコーチングとメニューの妙で十分に引き出す。
メニューはピッチの端から進み、終わったエリアのコーンやマーカーは片付けられ、最後はゴールだけが残って、ゲーム形式のメニューでセッションが終わる。欧州的なイメージの練習。ただ、選手たちはそんな憧憬を抱くことなく、集中してメニューごとに頭を切り替え、頭とフィジカルを駆使し続ける。強度が高いメニューも多く、ベテランが若手・中堅と同じ競争をするために、必死に挑む姿が印象的だ。
高校生、大学生との練習試合では“高い位置でボールを奪う、裏を取る部分” (新しい顔)は連係を含めてシミュレーションができたが、“主導権を取られたときの攻守” (昨季の顔)については二次キャンプ(宮崎県)でプロ相手に修正することになる。吉田監督が創る新しい顔では大卒ルーキーを含む新加入選手がアピールして存在感を強めたが、今後、昨季の顔を見せる場合にはアドバンテージは佐久間甲府のレギュラー陣にある。昨季の戦い方がベースという触れ込みではあったが、それでは吉田監督を選んだ理由は変わる。大方のイメージよりも変化の度合いが大きくなることを予感させる一次キャンプだった。(松尾 潤)