弱点を突かれた鳥栖、後半に崩れる
極めてデリケートなジャッジによるPKが二つも生まれた。マッシモ・フィッカデンティ監督が「ブチ壊されてしまった」と憤ったのは当然だろう。しかし、サッカーの中身を振り返れば、柏が勝利を奪うに十分な内容を示していたのも確かだった。
鳥栖の守備の特徴は、サイドにボールがあれば人数をかけて寄せてそこで奪い切るか、サイドチェンジをさせないこと。味方同士の距離を詰める鳥栖はボールサイドに寄るぶん、相手にとっては、素早くサイドチェンジのできる選手がいれば、逆サイドの選手はスペースを得やすい。そして逆サイドの選手がスピードに優れ、1対1に長けていればなお良しだ。鳥栖は横の幅を使って攻められると弱い――。そこを突くためのうってつけの人材が、柏にはいた。前者はクリスティアーノ、後者は伊東。鳥栖は38分、原川が直接FKを決めて先制に成功するが、柏の揺さぶりの前に危うい場面を序盤から多く作られていた。
後半に生まれたPKからの2失点。その際どい判定に注目が集まりがちだが、いずれもPKに至る過程は共通しており、左サイドから右サイドへと大きく揺さぶられ、エリア内に侵入されている。GK権田はその点を振り返り「前半の最初のところから失点する布石があったのかな」と話した。さらに78分にはシンプルなクロスから、最もやられてはいけないゴール前中央で武富に頭で合わされ、3失点目。集中が切れたことを象徴するような光景だった。
二つのPKが勝敗に大きな影響を与えたのは紛れもない事実だろう。ただ、「負けるときは純粋に相手より劣っていたから負けるもの」(権田)。鳥栖には3失点を招いてしまうだけの理由もあった。(杉山 文宣)