Photo: Atushi Tokumaru
5バックで始まり5バックで終わった一戦。モノにしたのはホームチーム
開幕戦にあたり札幌が準備した作戦は、[5-3-2]の布陣による守備重視のものだった。仙台にとっては「(札幌が)思ったより引いていた」(三田)という想定外の部分はあったものの、相手の作戦にも動じず、事前に準備していたもの、大きく言って3つがハマってホームでの今季初白星を記録した。
一つは、今季より採用する[3-4-2-1]システムの1トップ2シャドーを、相手ゴール前に構える3人のDFにぶつけた上で、後方から選手が加勢する攻撃。特に奥埜とリャン・ヨンギのシャドーが相手DFの間に入り込んで、そこに左サイドの永戸やボランチから攻め上がった三田らが加勢してチャンスを作った。キャンプ中2月10日の練習試合で5バックの甲府と戦って破っていたことも、良い予行演習になっていた。
前半途中から相手が仙台の攻撃に慣れてくると、なかなか相手ゴール前にたどり着けなくなった。だがこれまで練習してきたことのもう一つ、「選手の判断で、いろいろ立ち位置を変えながら札幌の守備の組織をずらす」ことができたと見た渡邉監督は、ハーフタイムに富田と三田のボランチの並びを縦関係にする変化を施す。これで「自分も前に行ってミドルシュートも打ちやすくなった」という三田が84分に強烈な一撃を放つと、このこぼれ球を石原が押し込み、ついに札幌の堅陣を破った。
そして三つ目。リードした途端に、仙台ベンチは予定していた平山の投入をやめ、代わって増嶋を投入。2日前の紅白戦でも準備していた5バックで札幌の最後の反撃をはね返し、逃げ切った。
札幌の5バックで始まり、仙台の5バックで終わったこの一戦。事前の周到な準備を結果につなげたのは、仙台のほうだった。(板垣 晴朗)