終了間際に甲府がPKを得たが、プレッシャー負け
鹿島にとって内容よりも勝利という結果が大きかった。ACLのムアントン・ユナイテッド戦と同じように、鹿島が本来持つクオリティーからすればミスが目に付いた試合だった。前半の立ち上がりから右サイドを起点とする攻撃で決定機を作り、決定機の一歩手前のシーンを含めれば前半だけで1〜2点決めているのが鹿島クオリティーのはずだった。
甲府は金崎とペドロ・ジュニオールの突破力やコンビネーションに最終ラインが乱れることがあったが、ミスで助けてもらううちに徐々に修正。新加入ボランチのベテラン兵働、小椋の予測の良いポジショニングも効いていた。攻撃ではウイルソンのコンディションが良く、予想以上の走力を見せた。ただ、裏を取る動きを見せるもアタッキングサードでのもう1本のパスやコンビネーションの精度が足りずに、決定的な場面は作ることができなかった。この点は課題だが、甲府はそう何度も決定機を作れるとは思っておらず、耐えながらワンチャンスを待つという覚悟での0-0なら悪くない。
63分にペドロ、金崎のキープ力を生かしたつなぎからレオ・シルバのミドルシュートで先制できたのは鹿島の個の質の高さ。その後もACLを回避し、日本で調整した小笠原が安定した試合運びで時間を進めた。
後半ロスタイムに甲府のゴールキックをはじき返すことができず、バウンドしたボールをウイルソンに頭で反らされ、山本脩斗が道渕を倒してPKを与えたときは、ムアントン戦の悪夢の2失点目が蘇った。しかし、その後に選手交代を行うなど、間を取ってキッカーのウイルソンにプレッシャーを与え、ミスと言えるシュートを打たせた。GKクォン・スンテが勝負師として勝利したPKでもあったが、短過ぎる助走でパンチ力のないボールを、そう難しくないコースに蹴ってしまったウイルソンのプレッシャー負けでもあった。(松尾 潤)