Photo:Norio Rokukawa
先制後の戦い方に残った課題。川崎F、ボールを握るもチャンスは少なく
「鳥栖らしい試合ができた」と笑顔を見せたマッシモ・フィッカデンティ監督とは対照的に、「勝利できなかったことが残念」と唇をかんだ鬼木監督。試合後の両者の表情にこの一戦のすべてが詰まっている。立ち上がりの15分は川崎Fの時間だった。この日、けがの家長に代わって先発で起用された大塚が中央でパスワークにリズムを加えると、躍動感のある攻撃を展開。相手がたじろぐ間に好調の小林悠がゴールネットを揺らし、前半早々に先制点を手にした。ただ、ここで畳み掛けられないのが、いまの川崎Fである。「点を取ったあとからボールを受ける回数が減って、人の距離感が遠くなってしまったという印象がある」と鬼木監督。相手のプレスが強まったことも一因ではあるが、中盤でのパスワークにミスが生じ始め、チーム全体で落ち着きを失ってしまう。こうなると鳥栖が反撃を開始。ロングボールを起点に相手のラインを徐々に下げることに成功すると、セカンドボールの回収率が増加。34分には「フカさないことだけを一番に考えた」という高橋のゴラッソで同点に追い付き、試合を振り出しに戻す。後半に入ると川崎Fにボールを持たせながら、ミスからボールを奪っては縦に素早い攻撃を繰り出す形を徹底。終盤はフィッカデンティ監督は高橋の走りを賞賛した.。
オープンな展開になる中でゴールに近付いた。一方、ポゼッションで上回ったホームチームは、バイタルエリアから先でチャンスが作れない時間が続いた。「最後の崩しのところで合っていない」とは中村の言葉。サイドチェンジをまじえながら相手の陣形に穴を開けて攻略の糸口を探したが、最後まで勝ち越し点は奪えず。負けない戦いはできたものの、ACLに続き勝ち切れないゲームを演じてしまった。連勝を目指した川崎Fと、今季初勝利を狙った鳥栖。勝ち点1を分け合った結果に笑顔を見せることができたのは、自分たちの戦いに自信を深めたアウェイチームだけだった。(林 遼平)