鳥栖が綿密な広島対策を遂行した。ボール回しに長けた広島に対して引くのではなく、あくまでも前から積極的に守備をしかけた。守備時にはトップ下の鎌田がサイドに開き、広島の3バックに対してプレスを掛ける枚数を合わせる。また、前線と両ウイングバックの5枚が張り出す広島の攻めに対しては、3ボランチの1枚が最終ラインに下がることで枚数を合わせた。前線のプレスがハマれば、そこに連動して前に出る。ハマらなければ、しっかり下がる。3ボランチに求められた運動量はかなりのものだったが、そこは鳥栖の強み。きっちりと実行してみせた。広島は鳥栖の守備を打破するために丸谷が最終ラインに入り、4枚で回す柔軟性も見せたが、それも想定済み。「4枚で回すパターンと3枚で回すパターンの両方を練習でも確認していた」(鎌田)と対応してみせた。
広島の前線の連係が未完成だったことも影響したが、鳥栖が守備でリズムをつかんだことも確か。44分には原川が直接FKを沈め、その時間帯のうちに先制できたことも大きかった。広島に退場者が出て以降、受けに回った点は課題だが、綿密に準備された守備とそれを実行する驚異の運動量が、リーグ戦では5年ぶりとなる広島戦での勝利を呼び込んだ。(杉山 文宣)