隣県同士のライバルが激突する『北四国決戦』。前半まず躍動したのは、ホームの讃岐だった。自陣でボールを持つ愛媛に対し、讃岐は前線から連動したプレスを掛け、愛媛のパス回しを窮屈にさせて自由を奪う。と同時にボールを奪取すると、技術力のある中盤も絡んで厚みのある攻勢をしかけていった。そんな中、FKの流れからPKを獲得。木島徹のシュートは一度防がれたものの、はね返りを自ら押し込み、過去の対戦の中で讃岐が初めてリードを奪った。しかし、愛媛に攻撃の糸口をつかませない能動的な守備はその後も冴えていたが、徐々にその勢いに陰りが表れると、愛媛に反撃を許し始める。「リズムが悪いときに愛媛は勇気を持ってボールをつなぎ、ウチは臆病になって長いボールを蹴った」
北野監督が勝負の分かれ目をそう語ったように、負の要因はリードしたことで弱気のメンタルが露呈したことにある。前へと向かっていた守備は後ろ向きとなり、意図のないロングボールに逃げる展開になると、後半は一転して愛媛のワンサイドゲーム。53分にFKから同点弾を許すと、そこから5分も経たないうちに、今度はサイドから攻略され西田に逆転ゴールを沈められた。その後も守備の歯止めは利かず複数の決定機を与えるなど、敗色は濃厚に。
しかし、90分間をとおしてのマネジメント力で愛媛に軍配が上がるかと思いきや、愛媛にも“エアポケット”のような思わぬスキがあった。後半ロスタイム直前の、讃岐陣内からのFKで一瞬集中を欠いてあわや直接ゴールという場面を与えると、直後のCKからリ・ヨンジに力技でゴールにねじ込まれ、勝ち点3は土壇場でスルリと手からこぼれ落ちた。
両軍ともにポジティブな面を披露しながら、同時にネガティブな面も露呈した。ただ、今季はまだ序盤。今後の浮沈のカギを握る“宿題”を手渡されたと思えば、決して実りなき試合ではなかったはずだ。(松本 隆志)