気持ちの勝利。一進一退の展開を青赤が制す
川崎Fにとっては4日前に中国で広州恒大と戦ってきた直後の一戦。連戦と移動の影響は「言い訳にはしたくないが、実際戦ってみてあったかなと思う」と鬼木監督も話す。一方でFC東京は自分たちのパフォーマンスに大きな手ごたえを得ている。「90分間、試合をコントロールしたのはわれわれだと思う」と篠田監督が胸を張れば、森重も「相手はうまいし、ボールを保持する。そこで勝とうとはしなかった。うまく相手のスキを探りながら仕留めることができた」と話す。
3点差がつくような差は両者にはなかった。最初のゴールが生まれたのが76分という事実は、試合が一進一退の展開だったことを物語る。その中で、FC東京が焦れずに続けてきたこと。それは、「相手のボール回しに食い付き過ぎないこと、そして必ず中央を崩してくるから中にきたときはファウルでもいいから止めること」だった。そう語ったのは、大久保嘉。古巣の狙いを一番知る男だった。
実際に鬼木監督が「ボールを持ったときに選手があまりプレッシャーを感じていなかった。その中で逆に動きが止まってしまった」と話せば、篠田監督が「相手に食い付くだけではなくて、守備のタイミングは選手が判断していた」と評価する。お互いが対峙し、重なり合った印象。それがFC東京の勝因を証明していた。
試合後、すぐに日本代表合流のためにUAE行きの便に乗り込んだ森重は、あらためて振り返った。「今日はとにかく勝ちたかった。前節ガンバに大敗していたから。とにかく、勝ちたかった」
同じフレーズをあえて続けた。それは込めた思いの強さの表れ。開幕2連勝後の前節の敗戦。ここで連敗を喫していれば、周囲からは「いつものFC東京」と揶揄されたことだろう。「絶対に自分たちは変わらないといけない」。危機感を募らせる森重にとって、そんな状況は耐え難かった。何としても勝つ。ある意味、気持ちの勝利でもあった。(西川 結城)