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J1リーグ 第4節
3/18(土) 16:00 @ ノエスタ

神戸
1
0 前半 0
1 後半 0
試合終了
0
磐田

Column 試合後コラム

神戸に誕生したファンタジックな職人

2017/3/20 14:41

 ボリュームの大きい歓声に押され、言葉はやや聞き取りにくい。それでもマイクが拾った声を逃すまいと多くの観衆が耳を傾ける。試合後のお立ち台で、大森はインタビュアーの質問に応じた。「うれしいです」、「そのとおりだと思います」、「次も勝てるように頑張ります」。短いセンテンス。張らない声。盛り上がるタイミングをつかむには極めて難しいヒーローインタビュー。ただ、そこにあったのは大森の確かな個性だ。エンターテイナーとは趣を異にした、小さくも力強い職人の雄叫びだった。
 大森が2試合連続となる決勝点を挙げた。前節・仙台戦では、松下の横パスからドリブルをしかけ、左足を振り抜いた。そして今節、渡邉から流れたボールを拾うと、相手DF二人をかわし、今度は右足だ。敵GKの手をはじき、ゴール左に突き刺した。
 この二つのゴールはよく似ている。渡邉が相手の最終ラインを引っ張りバイタルエリアにスペースを作る。仙台戦ではそこに大森が入り込み、今節は藤田が侵入し、渡邉を経由して大森が仕留めた。試合前、大森はこう口にしている。「このチームは『こう』という攻撃のパターンがない。だから読まれない。『ここにポジションを取れ』とかはあるけど、90分そればかりでは難しい」。二つのゴールで彼が示したのは、自身が持ち味を発揮する“形”。神出鬼没の大森による“読めない”アタッキングが、今季の神戸が最初に手に入れた攻撃の連動性だった。
 大森は今節を前に「楽しみ。『今日はどういうプレーをするんだろう』という感じ。感覚ですね」と語っている。葛藤を口にしなければ、喜びも大胆に表現しない。ところが、あふれ出るのは不気味にさえ感じる確かな自信だ。生まれ持った感性と磨き抜いた技術で生み出した二つのゴール。神戸にファンタジックな職人が誕生した。(小野 慶太)

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