飛躍を遂げたプレミアリーガーの意地
長谷部誠がチームを離脱した。UAE戦でキャプテンマークを巻くのは、この男になるかもしれない。
プレミアリーグでプレーして、5シーズン目。もちろん日本人最長記録である。しかし、この5年間に吉田麻也は多くの辛酸を嘗める経験をしてきた。
サウザンプトンには毎シーズン、入れ替わるようにCBのライバル選手が加入してきた。不動の主将ジョゼ・フォンテ(現・ウェストハム)の相棒には、クロアチア代表のデヤン・ロブレン(現・リバプール)、ベルギー代表のトビー・アルデルバイレルト(現・トッテナム)、そしてオランダ代表のフィルジル・ファン・ダイク。強豪国を代表する並み居る実力者を前に、吉田はCBの三番手として耐える時期を過ごしてきた。
その流れが今季、急変した。長年チームを支えたフォンテがロンドンへと旅立った。さらにファン・ダイクが負傷で長期の離脱。吉田がCBの第一候補に昇格したのである。
プレミアの舞台で、今季初めて主将を務めた。さらに2月下旬にはリーグカップの決勝に進出し、聖地ウェンブリースタジアムでマンチェスターUと対峙した。惜しくも2-3でタイトルを逃したが、大会全試合に出場した吉田はベスト11に選出された。準決勝まで無失点できたチームも、サウザウプトンが史上初。そこまでの対戦相手にはリバプールやアーセナルといった強敵もいた中での記録だった。
吉田は、いまの立場を「偶然ではなく、必然だと思っている」と語る。ライバルの移籍や負傷で手にしたポジションであることは間違いない。ただ、日陰の日々が長かった中でも、プレミアのDFとして強さと激しさを身に付けるべく自分磨きを怠らなかった。その姿勢を周囲が見ていたからこそ、ピッチに立つと主将を任され、彼の意見や主張に仲間は耳を傾ける。
その役割は、今回の日本代表の中でも必要とされている。長谷部がいないいま、チームの後方から味方を鼓舞し、的確な指示で支える。「いまの自分の状態を、日本代表にも還元しないといけない。UAEには15年のアジアカップ、昨年の最終予選初戦と2度負けている。もう同じことは繰り返せない」。吉田の統率力、そしてプレミアリーガーとしての意地。負けられないこの大一番で、いまこそたくましくなった姿を見せるべきだ。(西川 結城)