Feature 特集

[西部 謙司]日本主導の予選は過去のもの。オマル封じの[4-3-3]が奏功/W杯アジア最終予選UAE戦クロスレビュー②

2017/3/27 17:27


Photo: Norio Rokukawa
丁寧に僅差勝利を。それが今予選

 UAE戦のMOMは今野泰幸だ。前半に1失点を防いだGK川島永嗣、冷静に先制点を叩き出した久保裕也、圧倒的なポストワークを見せた大迫勇也も活躍したが、今野を最高殊勲とすることに異論は出ないと思う。
 UAE戦での日本の戦術的なポイントは[4-3-3]への変更だった。これまでは[4-2-3-1]をベースにしてきたが、UAEの攻撃時の動き方から[4-3-3]に決めたのは明らかである。ハリルホジッチ監督は相手に応じてきちんと対策を練るタイプだ。アルジェリアを率いていたときも、戦術的な修正とそれに合った人選の両面で効果的な仕事をしていた。UAEは両サイドハーフが中へ入る傾向があり、特にオマル・アブドゥルラフマンは要注意だった。オマルの行く先々で監視を怠らないための[4-3-3]と言えるかもしれない。[4-3-3]への変更でのキーマンが今野だった。G大阪ではインサイドハーフとしてプレーしており、UAE戦にうってつけの人材。実際、今野は攻守両面にわたる堅実なプレーで貢献し、決定的な2点目をゲットし、さらにボールを落ち着かせてゲームをコントロールする上でも重要な役割を果たしていた。
 ただ、[4-3-3]がすべてうまくいったわけではない。相手のビルドアップに対して、インサイドハーフが前へ出るのはこのシステムのメカニズムだが、今野と香川真司が二人とも釣り出されて中盤が空き過ぎてしまうケースがあった。マンマーク寄りの守備はUAEに対して効果的だった面もあったかもしれないが、随所にポジションバランスを崩しており、UAEに3つの決定機を作られている。いずれのケースも守備組織は崩壊していて、偶発的なピンチではない。前半は川島が1対1のシュートを防ぎ、後半は相手のシュートミスに助けられたが、3失点してもおかしくなかった。2-0のスコアは完勝に見えるけれども、実際にはUAEのフィニッシュの悪さに助けられての勝利である。
 ただし、これがこの予選での勝ち方なのだ。もう日本がアジアの中で図抜けた存在だった時代は終わっている。完全に主導権を握り、シュートが決まるかどうかだけが焦点だった予選は過去のものだ。相手を分析し、戦術と選手起用を微修正しながら、丁寧に僅差勝利を狙っていくのが今予選の基本的な戦い方である。ハリルホジッチ監督はそれに向いたタイプであり、それゆえのリスクもあるが、選手も監督のやり方に慣れてきたのではないか。(西部 謙司)

関連カテゴリ

EG 番記者取材速報

League リーグ・大会