勝利の一因に、名波監督の決断があったことを忘れてはならない。ダービーに向けた紅白戦とは少し異なる11人が、この日のピッチに立っていた。大一番で勝ち点3をつかむべく、指揮官は頭を悩ませた末にメンバーを組み直した。「(本来は)前への推進力を持てるであろう選手が、先週と今週のトレーニングの中で持てなかった。もう一つは(ボールを)ロストしないということ、それから前線からまとまった守備の連動性を求めていく中で」の判断だったことを試合後の記者会見で明かしている。
特にアダイウトンのベンチスタートには驚きがあった。これまでどんなときでも先発出場し、躍動感あふれるプレーを見せてきた。とはいえ、そんな選手がベンチに控えていることは相手をけん制する意味でも大きかったのかもしれない。
さらに先発出場した松浦が持ち味を発揮。周囲と効果的なコンビネーションを随所に見せ、攻撃を加速させた。また左サイドハーフの太田、右サイドハーフの中村俊といった普段とは異なるスタートポジションで起用された面々も、チームに貢献した。「非常に良い結果が出たので、判断としては間違っていなかったと思う」としつつ、清水のサイド攻撃への対応やシュート数が相手を下回ったことなど課題にも言及した名波監督だが、その采配が光ったのは間違いない。
勝つために最善の11人を選び、選手たちを送り出した。監督という仕事において、“決断力”は重要なポイントだろう。
静岡ダービーというビッグマッチで、サックスブルーのレジェンドがリーダーの資質を示した。自分を信じ、チームを信じたからこそ、生まれた勝ち点3だった。(青木 務)