神戸に今季初となる黒星が付いた。開幕戦以来、統率された戦術と粘り強く対応するディフェンス力を披露してきたが、今節は初の先制点を奪われ、初の複数失点の末に敗れた。ただ、対浦和用にネルシーニョ監督が落とし込んだ戦術は前半、浦和が得意とするフリックやスルーパスを駆使したコンビネーションの発動を抑え、躍動感をもってピッチを席巻していた。試合前に岩波は「前半を0-0でいくくらい我慢してやりたい」と語っていたが、まさに思惑どおりのゲーム運び。神戸は自分たちのリズムをつかんでいただけに、61分の失点は痛恨だった。
ボランチに入った駒井をマークしていたニウトンは、降りる相手を追い、そのまま敵CBにプレスを掛けた。だが、そこを外され、駒井は右サイドで縦にパス。松下は受け手の森脇を制限できず、中に入ったクサビのパスを岩波も防げなかった。ボランチの藤田は「小さな要因が何個か重なって失点は起きるもの」と語る。渡部は「後手に回るなら(プレスに)行かずに、ディレイしながら最後のところをつぶすのか、そのあたりの判断が足りなかった」と冷静に振り返り、岩波は「自分のところでボールを奪えていた」と実直に受け止めた。藤田は「(誰かがプレスに)行くならもっと合わせるとか。合わなかったときにリカバーの仕方をどうするのか」と、チームとしていかに判断を共有するかに頭を巡らせる。11人が判断を合わせるのは簡単なことではないが、そこを求めることは避けては通れない道とも言える。“小さな要因”は、各選手にとって“小さくない”記憶となり、選手自らやチーム力を高めるための“キッカケ”にもなっていくだろう。藤田は「改善の余地はある」と語気を強めて話していた。
指揮官は試合後、敗戦の悔しさよりも、もっと大きなことを感じたという。「ファイティングスピリットを見せてくれたことに希望の光を感じる。ヴィッセルはもっともっと上にいけるチームであると今日また思った」
神戸はここから強くなる。(小野 慶太)