今季6試合目で移籍後初ゴールを決めた佐藤寿人。開幕から5試合無得点だったのは、仙台から広島に移籍した05年以来のこと、佐藤寿人自身も思い出せないというほど昔の出来事だった。
J1・J2合わせて211ゴールを奪ってきた生粋のストライカー。住み慣れた広島を離れ新たな挑戦の地に選んだのは名古屋だった。その名古屋で佐藤寿人はこれまでとは違う働きを求められた。広島時代は最前線でゴールを狙うスタイル。しかし風間監督は彼に時には下がってボールをさばき、チャンスメークをすることも要求した。この新しい挑戦を「自分の成長につながる」と前向きに捉えた佐藤寿人。しかし、開幕戦からゴールのチャンスを幾度も逃すうち、徐々にプレッシャーも感じ始めていた。「ゴールは欲しいけど、それ以外もやらないと」。強がる気持ちも言葉に出ていた。
そんな中、先週の練習からはアプローチを変えた。「自分ではフリーだと思っていても、なかなかパスが出てこなかった」。広島ではある程度のマークが付いていても、パスをもらいDFをかわしてシュートに持ち込んでいた。パスが出てこない現状を変えようと、もっとはっきりした動きでマークを外すようにした。するとチームメートは安心して佐藤寿人にボールを預け、ゴールに向かうプレーが増えた。
ゴールばかりが注目されるが、19分の場面も記しておきたい。自陣の最後尾にいた選手がバイタルエリアでボールを奪われた。GKと1対1になるかというところで真っ先にカバーに戻ったのは、最前線にいるはずの佐藤寿人だった。スライディングで相手を止めチームは事なきを得た。
「チームが勝つために、泥臭くてもベストの仕事をしたい」。新しいスタイルを求め佐藤寿人は名古屋で進化する。(斎藤 孝一)