守備の堅さに定評がある両者、そして、同じ布陣を敷くミラーゲームということもあり、試合は立ち上がりから動きの少ない展開で推移していく。勝敗を分けたのは、1トップの収める力とスキを突く力。その点で優っていたのは長崎だった。
長崎のファンマと山形の阪野。最前線の選手としてうまくボールを収めて、後方からの上がりを促していたのは前者のほうだろう。立ち上がりこそ風上に立った山形が押し込んだが、そんな展開でも長崎はファンマにボールを入れれば収まり、あるいはファウルを受け、時間を作ることができる。相手に波状攻撃を許さないその存在は大きかった。また、今季の長崎は得点の7割近くをリスタートの流れから奪っている。「こういう試合で勝つためには必要」と飯尾が話すように、拮抗した展開を打ち破ったのは長崎の強みであるセットプレーだった。27分、CKからゴール前でフリーになったファンマが頭で叩き込んで先制。リード後は守勢に回るなど試合運びに課題を見せたが、それでも“粘り切る”というもう一つの長崎の強みを発揮した。そして89分にスローインから追加点を奪う。これもリスタートの一つ。拮抗した展開をモノにする長崎の強みがこの試合の勝因だったことは間違いない。(杉山 文宣)