エリア付近のノーファウル徹底。かつての仲間に伝家の宝刀を抜かせず
試合後、エリク・モンバエルツ監督は「われわれがポゼッションできる試合展開になると考えていた」と雄弁に語った。相手との力関係を鑑みたときに、地力の差で上回れるだろうと予測していたわけだ。
横浜FMは相手陣内にスペースがある場面でのカウンターこそ得意としているが、対戦相手に守備ブロックを作られた際の遅攻に問題を抱えている。ボールを持たされるゲームも多く、ポゼッションがフィニッシュに結び付かないことが往々にしてある。
その攻撃に変化を加えたのが、磐田戦で多用したロングフィードである。最終ラインのミロシュ・デゲネクや中盤の底に位置する天野が両サイドに長く正確なボールを蹴り分けていく。相手の高い最終ラインの背後を突くようなボールも織り交ぜながら揺さぶりをかけると、それが26分に奏功した。デゲネクから左サイドの齋藤へ。齋藤は得意のドリブルで磐田守備陣の枚数と注意を引き付け、すかさずクロス。これに反応したファーサイドのマルティノスがヘディングシュートでゴールネットを揺らした。
先制に成功した横浜FMだが、またしてもセットプレー守備の悪癖が顔をのぞかせる。前節のC大阪戦の失点場面同様に、一度はクリアしたかに見えたボールに先に反応され、同点に追い付かれた。CKに対してストーン役を務めたマルティノスがヘディングクリアをミスするという個人的な失策であった。
緩慢な守備から失点した横浜FMだが、チームとしての約束事は徹底されていた。「無駄なファウルでセットプレーのチャンスを与えないことは試合前から話していた」と決勝ゴールを挙げた金井が振り返る。自陣ペナルティーエリア付近をノーファウルで守り、昨季までチームメートだった中村俊に、最も得意とするプレーを許さない。
終盤、横浜FMは栗原を投入して守りを固めた。CKからあわや同点というピンチこそあったが、それも相手のシュートミスに助けられる。そして中村俊が直接FKを狙う場面は、とうとう訪れなかった。(藤井 雅彦)