京都が1試合で3ゴールを挙げたのは今季初。その3ゴールをたった一人で決めたのだから、闘莉王のFW起用が京都にとって有効な武器であることには論をまたない。3人のマーカーを無力にした2点目のシーンでは、ゴール前でのセンス、個の能力が絶大であることをまざまざと証明してみせた。だが、“FW闘莉王”の戦法で勝利したこの愛媛戦は、京都が抱えている課題があらためて浮き彫りになった一戦でもあった。
京都が今季勝利を収めたのは、この日のゲームを除くと第2節・徳島戦のみ。振り返れば、その徳島戦も京都を勝利に導いたのは終盤に前線に入った闘莉王だった。言うまでもなく、闘莉王の本職はDF。しかし、その得点力に頼らなければ勝利できていないというのが、京都の現状でもある。
京都にはエスクデロ、大黒、イ・ヨンジェ、ケヴィン・オリス、小屋松、岩崎と、攻撃陣にさまざまなタイプのタレントがそろう。しかしながら、攻撃的なスタイルを打ち出した今季、その豊富な駒を有効に活用した攻撃の形が見いだせないままでいる。急ぐべきは、本来の攻撃陣での得点パターンを確立させることだ。
“FW闘莉王”というのは、禁断の果実のようなモノ。闘莉王はもうすぐ36歳を迎え、昨季、名古屋に復帰するまでの大半の期間をサッカーから離れて過ごしていた選手である。コンディション調整に苦しんでいる今季のこれまでの姿を考えれば、全盛期のように常にピッチに立ち続けることを望むのは難しいだろう。“FW闘莉王”に頼り過ぎてしまえば、闘莉王不在時にチームがたちまち窮地に追い込まれることになる。
布部監督は愛媛戦後、「以前のやり方と併用してやりたい」と“FW闘莉王”を継続していくことを示唆している。肝心なのは、その強力な武器に頼り過ぎず、切り札として忍ばせておけるほどチームの総合力を高めていけるかどうかだ。それができなければ、京都は茨の道を進むことになりかねない。(川瀬 太補)