後半のロスタイム。チアゴ・アウベスのゴールが決まり、試合の終わりを告げるホイッスルが鳴ると、スタジアムには少なくないブーイングが鳴り響いた。川崎Fは今季公式戦8度目の引き分け。またしても勝利は掌からこぼれ落ちた。
しかし、内容を振り返ると、これまでの7つのドローとは色合いが大きく異なる。この試合に向けて“もう一度、自分たちのサッカーに立ち返ろう”と攻撃的なサッカーに針を振った中で、試合全体のパフォーマンスには明らかな変化が見られた。それは70%近いポゼッション率を記録したことや1,000本を超えるパス数を数えたことからも、その変化に気付くことができるだろう。細かくパスをつなぎ、相手を崩していく攻撃的なスタイルは、確実にピッチ上で表現されていた。それは鬼木監督の言葉にも表れている。「中から攻めようと話していた中で、そこを徹底したことが後半につながった。チャンスは今までより作れたと思うし、そういう意味ではみんなの考えがだいぶ一致してきたのかなと思う」
特に後半は人とボールが動く華麗なサッカーを披露した。球離れの早い森谷が入ったことでリズムが生まれ、中と外を使い分けた分厚い攻撃を繰り出すことができた。「すごく手ごたえがあったし、久しぶりにフロンターレらしいサッカーができたと思う。これを続けていくことで結果も付いてくる。次も迫力を持って攻められるようにやっていきたい」(小林)。
もちろん勝ち点を2つ逃した事実は変わらない。試合の締め方に改善の余地があるのも確かだ。ただ、「下を向いてはいられない」と中村。収穫と課題に目を向け、次の試合で勝利を奪うための教訓としたい。(林 遼平)