勝利監督のリカルド・ロドリゲス監督は、試合後の会見で攻撃面の方針について次のように話した。
「相手の分析をして、どう攻撃をしたら良いか。それに基づいて攻撃をしている」
徳島のコーチングスタッフは、「前後左右をコンパクトにして戦ってくる」(島屋)という町田の特徴を導き出し、コンパクトな町田の陣形を広げるプランを組み立てた。その代表例が左サイドハーフの島屋をライン際に張らせること。対面の右SB奥山が本職ではないため、彼のポジショニングのスキを突く狙いもあったのだろう。島屋がサイドに“ベタ張り”だったことに関して、町田のCB深津が言及する。
「サイドに張っている選手に引っ張られると、間が空いてきてそこにパスを出されて押し込まれる展開になってしまう。それはウチのサッカーではない」
徳島の狙いを察知した町田は、サイドに張る島屋をある程度捨てて、右SBは普段どおりの位置取りをキープ。そのため、この策はある意味空転に終わったが、徳島の指揮官は“二の手”も“三の手”も用意していた。
「斜めの逆サイドへの展開や、中盤の選手が背後を突く動きを選手たちに要求してきた」
ボールサイドに人数をかける町田の守備戦略を打破する上で、サイドチェンジを軸に手薄な反対サイドから攻める形は、町田攻略法の“王道”でもある。事実、前川の決勝点は馬渡のサイドチェンジが出発点になったし、オフサイドで水泡に帰したものの、2列目からの飛び出しで町田の中央エリアを攻略寸前にまで追い込めそうな場面を何度も作った。
今節・町田戦も僅差での勝利だったように、好機の数に得点数は比例せず、勝ち切れなかった試合も少なくない。対戦相手に応じて戦略を変える“フレキシブル”な戦い方を消化するには、そのぶん選手のクオリティーが必要になる。J2のカテゴリーでそのサッカーに挑戦しているロドリゲス監督は“革新的”とも言えるが、スペイン人指揮官や当の選手たちはチームの方向性に一切の迷いがない。(郡司 聡)