■浦和レッズ
味わった二重の屈辱を生かすのはこの試合
何としても勝たなければならない。浦和にとってこの一戦はライバルとの「ビッグマッチ」(西川)という以上の意味を持つ。
浦和は前節、大宮に0-1で敗戦。首位として最下位に敗れる、そしてダービーでの敗戦という二重の屈辱を味わった。敗れながらも首位をキープしているが、前節で鳥栖に勝利した鹿島との勝ち点差はわずかに『1』。敗れれば当然、首位から陥落する。また、引き分けに終わると鹿島との差は変わらないが、同じく勝ち点1差につける2位のG大阪が翌日に勝利すれば首位の座を譲り渡してしまう。
そして何より鹿島には昨季、前節のダービーと同等か、もしかするとそれ以上の屈辱を味わった。チャンピオンシップ決勝での敗戦。「鹿島が表彰台に乗っている姿は忘れられない」と言った興梠は古巣が相手だったこともその悔しさを増幅させたのだろうが、年間勝ち点で『15』も下回る相手に“チャンピオン”の座を奪われた屈辱は、ほかの選手も同じように感じていた。そのため、「借りを返したい」(興梠)一戦でもある。
浦和にとって非常に重要な一戦だが、ベストメンバーで臨めない可能性もある。4月26日のACL第5節ウェスタン・シドニー戦で右太ももを痛め、前節の大宮戦も前半限りで交代した柏木に加え、大宮戦で左足首を痛めた遠藤航も大宮戦翌日のクールダウンを回避した。代わって入るであろう青木、那須の今季のパフォーマンスを考えれば、それほど大きな問題にはならないだろうが、この試合が一つの山場となることは間違いない。大宮戦で「自分たちの戦い方を貫いて100%でやっていかなければ、罰を受けるものなのかもしれない」(ペトロヴィッチ監督)と再確認した浦和。敗戦を生かすのも、ここから再び上昇気流に乗れるか否かもまた、「自分たち次第」(西川)だ。(菊地 正典)
■鹿島アントラーズ
かみ合い始めた歯車。浦和への苦手意識は皆無
J1第6節でC大阪に敗れてから微妙に狂っていた歯車が合うようになってきた。ACL第5節・蔚山現代戦、J1第9節・鳥栖戦と公式戦2連勝で迎える浦和戦。ライバルを叩けば首位に立つ可能性もあり、自然と気持ちは燃え上がる。
昨季の対戦成績は2勝2敗と五分ながらも浦和への苦手意識はまったくない。チャンピオンシップを制した事実が、確かな自信をもたらした。今季最初の公式戦であった富士ゼロックス・スーパーカップを3-2で勝利したこともプラスに働く。2点のリードを追い付かれたが、鈴木の決勝点で浦和を上回った。選手からも「(浦和には)勝っているイメージが残っている」(山本)という声が聞かれた。
同じ布陣、同じ選手、同じ攻め方。浦和のやり方はほとんど分かっている。唯一、イヤなのがラファエル・シルバの存在だ。「新潟のときはペドロ(・ジュニオール)みたいに一人で打開する選手だと思っていた。でも、慎三さん(興梠)へのスルーパスとかを見ると、こんな良い選手やったんか」と昌子は驚きを隠さない。
とはいえ、対浦和戦5試合で3得点を挙げる金崎を筆頭に、土居、遠藤康と中心選手が活躍しているのは心強い。チーム状態も上り調子であり、彼らも良い状態をキープしている。
さらに、浦和戦になると決定的な仕事をする鈴木も控えている。CSでも決勝点となるPKを誘発し、ゼロックス杯ではバックパスをかっさらい決勝点を挙げた。浦和にミスがあれば見逃さずに得点を挙げてきた過去の事例は、相手に対して一つもミスができないという心理的ストレスを強いるだろう。
前節、大宮とのさいたまダービーに敗れ、ホームに鹿島を迎える大一番。大きなプレッシャーを背負わねばならないのは浦和のほうだ。(田中 滋)