ともに攻撃面での流動性を持ち味にするチーム同士。間瀬監督が「スタイルとスタイルのぶつかり合い」と称した戦いは、愛媛に軍配が上がった。
スタイルが同じとはいえ、それが構築されるまでのプロセスは大きく異なる。J3秋田での監督時、山口と2度の対戦経験を持つ間瀬監督は、その流動性を「本当にたくさんのパターン練習から成り立っている」と評すが、一方で自らのチームは「パターン練習を一度もしたことがない。大切にしているのは見ること」と状況判断を養い、それを武器に流動性を生み出してきたと話す。「(その方法の)どちらが優れていると言うつもりはない」とは言ったが、その部分で愛媛の選手たちが上回る姿を、誰より楽しみにしていたのは間瀬監督自身だったに違いない。
試合は強く吹き付ける風の影響が大きく出た。前半は山口、後半は愛媛と、風上にピッチをとったチームが主導権を握る展開。その中でともに持ち味の“流動性”を見せ合ったが、我慢の展開となった前半でビハインドを1点にとどめた愛媛は、後半序盤に神田のJ初ゴールで同点に追い付くと、71分に逆転。流れの中から相手守備ラインの裏を突いて決勝点を決めたのは浦田だった。CBの選手がこの状況で決めたことこそ、状況判断を武器にした“即興の流動性”が成せる業。それにより得た逆転勝利に「個人的にも非常にうれしい」と指揮官は静かに顔をほころばせていた。(松本 隆志)