リーグ戦11試合目、ルヴァンカップを入れれば公式戦15試合目。No.10を背負う今季の補強の目玉が、ついに初得点を記録した。それも単なる1点ではなく、チームを今季初の逆転勝利に導く値千金の決勝点。ディフェンスラインの背後に抜け出し、DFを切り返しで翻ろうして奪ったゴールは“らしさ”にあふれるものだった。
「これまでなかなか勝てていなかったし、個人としても結果を出せていなかった。遅くなったけど、ここでしっかり点を取って勝てたというのは、僕としてもチームとしても次につながると思う」
自身初の国内移籍で大宮にやってきた大前だが、極度の不振に陥ったチームの中で特長を出し切れず、チームが今季初勝利を手にしたさいたまダービーでは出番がなかった。今節もベンチスタート。後半開始から出場することになり、与えられた場所は本来のFWではなく左サイドハーフ。10日のルヴァンカップ第5節・FC東京戦に続いて、中盤での仕事が求められた。
「(サイドでは)プレッシャーが360度ではなく180度になる。彼はテクニックもあるしキックの精度もあるので、サイドから攻撃したほうがいいかなということで入れた」という渋谷監督の意図を受けてピッチに入った大前は、期待に応えて躍動する。仙台のライン間でボールを落ち着かせ、ランニングを繰り返す瀬川に対して効果的なボールを供給。「(瀬川には)『俺がボールを持ったら走れ』とは言っていた」(大前)。良好な関係を作り出し、決勝点のシーンでは瀬川のランニングによって生まれたスペースから崩し切った。
与えられた場所で最高の結果を出してみせた大前だが、「まだ現状は何も変わっていない。どんどん勝ち続けるしかない」と慢心することなく前を向く。残留圏との勝ち点差はまだ大きい。勝利数を伸ばし、降格圏を脱出して上を目指していくためには、この男のさらなる爆発が不可欠だ。(片村 光博)