4日前、前節・愛媛戦での敗戦は、岡山がこれまで大事に築き上げてきたものにあらためて目を向けさせてくれた敗戦だった。
かつて岡山でコーチを務め、今季から愛媛の指揮を執る間瀬監督は、試合前のミーティングで選手たちにこう伝えたという。「岡山が大切にしている、走る、戦う、声を掛け合うとか、そういう要素で上回ろう」と。そして試合後、長澤監督は険しい表情でこう語った。「球際とか空中にあるボールを競ること、その次を拾うことに関して愛媛さんに上回られたのが事実」と。愛媛戦はこれまで岡山が大事にしてきたもので劣って敗れた試合だった。
そのため、今節に挑むにあたって長澤監督は「先人の選手、クラブスタッフが築き上げた泥臭さとかをもう一回ゲームで表現することが大事」と語り掛けて選手をピッチに送り出した。一人ひとりが献身的に走って戦うこと。声を掛け合い最後まで支え合って戦うこと。クラブの原点にあるものを見つめ直して横浜FCに立ち向かった岡山は、勝利を手繰り寄せ、試合後に長澤監督はあらためてこう語っている。
「華麗にはほど遠いが、泥臭さが復活してきたことを非常に大きな手ごたえとして持っている」
「ファジアーノが築き上げてきたもの。頑張り、根性、気合いと言ったらそれまでだが、そういうクラシックなことを(リーグ戦の)中盤戦はグラウンド上で表現できるように日ごろの練習から努力していきたい」
今季は、選手の出入りが多くあった中でけが人も重なり、チームが向上していく方向性をなかなか見付けられないでいる。ただ、苦しい戦いが続いている理由は、これまで大事にしてきたものをピッチで体現できなかったからだ。岡山在籍8年目の近藤は言う。「今日の試合に何で勝てたかというと、全員が走って球際をしっかり戦うことを90分間やれたから」だと。これを逆説的に言えば、「これまで何で勝てていなかったかと言うと、走って戦えていなかったから」となる。
岡山が大事に築き上げてきたもの。それは選手が入れ替わっても失ってはいけない。原点に立ち返って首位を撃破した今節は、岡山が大事に築いてきたものをみんなで再認識できた有意義な一戦となった。(寺田 弘幸)