古巣対戦、それもいまの柏のアカデミーからトップまでの礎を作ったと言ってもいい吉田監督にとっては特別な試合。昨季の新潟での古巣戦(J1・1st第4節・新潟2△2柏)ほどの気持ちの盛り上がりはないと話していたが、立ち上がりからテクニカルエリアに出て、タッチラインを割ったボールを走って拾いにいくくらいだったから、試合が始まると熱くなっていたようだ。
ピッチ内の選手が柏の強度やスピードに同じ熱で対抗していただけに当然かもしれないが、これは今週の練習で積み上げてきた柏対策の戦術的なものではなく、同じ世界で戦うための強度とスピードを意識して積み上げてきた成果。控え組の選手が練習から仮想柏として強度とスピードを出し切ってプレーしたからこそでもある。
終盤は大津やディエゴ・オリヴェイラという甲府に取っては恐ろしいFWが投入され、決定機を作られ、クリスティアーノのシュートがポストやバーに当たるという幸運にも助けられたが、クラブの立ち位置や規模を考えれば約16億の予算で戦う甲府の大健闘という引き分け。選手は“古巣と戦う吉田監督のために”ということを前面に出すわけではないが、前節の仙台戦で情けない敗れ方(0●3)をしていただけに、悔しさを晴らしたい気持ちは強かった。いまの甲府はかつて柏の選手たちがこなしてきたのと同じような練習を吉田監督の下で行い、徐々に“ドン引き”ではない姿を表現している。それを首位の柏相手に表現できたことは大きな収穫となった。(松尾 潤)