前に出る猛牛の背後へ。軽やかに跳ね続けたイルカ
上位を見据える両者の対戦には、意外にも大きな差が生まれた。「相手はチームとして非常に機能しており、終始相手にペースを握られ、試合を動かすことができなかった」。ネルシーニョ監督の言葉どおり、試合を最初から最後まで圧倒したのは川崎Fだった。
ゴールラッシュの口火を切ったのは中村のパス。9分、大島から受けたボールをワンタッチで前線に送ると、抜け出した小林悠が阿部のゴールをお膳立て。20分には中村のパスから再び阿部が決め、ここ数試合なかなか追加点が取れなかった川崎Fに待望の2点目がもたらされた。
神戸は早い時間帯の失点でゲームプランが崩れた。序盤こそ前線から勢いを持ってプレスを掛けたが、相手にパスワークではがされると「中盤のところで誰がつぶしにいくのかがうまくいかなかった」(渡邉)。ボールの奪いどころで優位性をつかめず、ピッチの中で修正を施せなかったチームは、簡単に相手の侵攻を許してしまう。
そのため後半になってもホームチームの勢いは止まらない。前半と変わらずに選手個々が良い距離感を保ちながらスムーズにボールを動かしていくと、68分に阿部のクロスからリーグ戦では6試合ぶりとなるゴールを小林悠が決めて3点目を奪取。さらに「3点目を取ったあとは4点目。4点目を取ったあとも『まだいこう』という雰囲気だった」(小林悠)という川崎Fは、攻撃の手を緩めることなく、終盤に2点を加えて勝利を決定付けた。「相手の背後を取りにいく意識付けをトレーニングからしていた中で、実際に試合でやるというのは難しいと思う。ただ、それを今日はやり続けてくれたことが良かった」とは鬼木監督の言葉。チームとしてやるべきことを完遂した中で、5得点での大勝。無失点で抑えた守備も含めて、攻守に自信になる結果を手にした川崎Fは、今後の連戦にはずみをつけた。(林 遼平)