3連敗で「非常ベルが鳴っている」と自ら表現した危機的状況を脱するため、ペトロヴィッチ監督は動いた。那須を最終ラインの中央に入れ、遠藤をリベロからボランチ、柏木をボランチからシャドーに一列ずつ上げ、前節の鳥栖戦で負傷からの先発復帰を果たしていたラファエル・シルバをベンチに置いた。それは失点が続く守備の改善を目的としたものであることは明らかだった。
前半はその狙いの一つが的中。「相手ボランチが(最終ラインに)落ちたらそのまま付いていく」と指示を受けていた遠藤が中盤の高い位置で何度もボールを刈り、ここ数試合で機能していなかった素早い攻守の切り替えと前線、中盤からのプレスに活力をもたらした。
その一方、ビルドアップには難が生じた。興梠は「ボランチの癖が出ていた」と柏木について話したが、シャドーの位置でなかなかボールが入ってこなかったこともあるだろう、柏木はポジションを下げ、シャドーながら、時に最終ラインでビルドアップに参加することも。そして結果的に1点目は柏木が“普段どおり”最終ラインに下がったところから攻撃が始まった。
後半立ち上がりの2失点は選手の配置というよりチーム全体の問題。特に最終ラインの守備意識の問題であるが、3失点目はCKの流れからとはいえボランチでフィルター役にならなければならない遠藤のミスからカウンターを食らった。
そして逆転を許すと同時に那須をベンチに下げて李を投入し、遠藤をリベロ、柏木をボランチと普段の形に戻した。
最終的には個の力を見せてではあったが逆転に成功。状況を変えるために必要だったメンバーとポジションの変更。ただ、それは結果として奏功したとは言い難かった。(菊地 正典)