松本で培ってきたもの、そして長崎でつかみ取ろうとしている新しい自分。その二つが合わさった姿を、古巣・松本との試合で飯尾は見せた。
90分をとおして上下動できる豊富な運動量と切り替えの速さ。ワイドを務めるにはうってつけの能力を備える飯尾だが、「阪南大、(松本)山雅で培ってきたものをベースにいまもやっている」。松本での4年間は、選手としての構築に大きな影響をもたらしている。しかし、松本では田中という大きな存在の前に出場機会を伸ばすことができなかった。だからこそ長崎にやってきた今季、「選手としてよりスケールアップしないといけない」とプレーの幅を広げることをテーマに掲げた。その一つが得点だった。
高木監督は両ワイドの選手を「第3のストライカー」と位置づける。このポジションの選手たちの得点数増加は、J1昇格のためにも重要なポイント。日ごろの練習から、飯尾にも数多くのアドバイスが送られている。「攻撃面でプレーの幅を広げられるようなヒントをもらっている」。得点に関与することへの意欲は、飯尾が長崎でより強くなった部分だ。
成長の一端を感じさせるゴールシーンだった。外に張るのではなく、ゴールに向かっていく意識があるからこそ内側に絞った位置取りになる。そして、得点への意欲があるからこそ、迷いなく足を振る。長崎に来て高木監督からのヒントを意識しながら取り組んできた日々が、古巣からのゴールの背景にはあった。
アウェイでは0-3の完敗を喫した。それでも再戦を前に、飯尾には「あれから時間も経って、自分たち自身にある程度手ごたえも感じている」とチームが成長している実感があった。「ピッチに立ったら自分が長崎の攻撃をけん引したい」。戦前の言葉を有言実行した飯尾もまた、確かな成長を遂げていた。(杉山 文宣)