現在の京都の攻撃陣の中で、一番欠けると困る選手は誰か。その答えは小屋松知哉だと断言できる。名古屋から今季加入した、裏への抜け出しが武器のスピードスター。しかしながら、今季の小屋松がピッチで示してきた価値は、その前評判にとどまらない。
自陣まで戻ってDFの背後を狙う選手をケアしていたかと思えば、カウンター時には自慢のスピードで相手ゴールを急襲。京都が誇るツインタワーが競ったボールには、誰よりも早く反応する。キックオフから全力で上下動を繰り返し、どの試合でも小屋松の貢献は攻守両面に及ぶ。ゲーム終盤はさすがに足が止まることもある。それでも、「サッカーは走るスポーツ。勝つためには走らないとダメだから」と涼しい顔で話す。
その労を惜しまぬハードワークに加え、非凡な得点力もしっかり示している。今季はすでに7得点。特筆したいのが、ゴールを決めた状況だ。7点のうち、京都にリードをもたらした得点が5点、同点ゴールが1点。そのゴールのほとんどが、チームを勇気づける、大事な局面での1点だった。
プロ入りからの3年を過ごした名古屋では大けがもあり、期待に応える働きはできなかった。京都は生まれ育った土地。移籍を決断した背景には、慣れ親しんだ場所で再出発したいという気持ちがあったことだろう。「名古屋には感謝している。これからもっと成長した姿を見せて恩返しをしたい」。古巣を突き放すゴールを決めたこの日、小屋松は充実感と自信に満ちた表情を見せた。そして小柄なハードワーカーはまた一歩、“古都のエース”への階段を上った。(川瀬 太補)