広島からの期限付き移籍3年目を迎えた川辺が、加速度的な成長を見せている。川崎Fを粉砕したサックスブルーだが、チームをけん引したのは紛れもなくこの21歳の若者である。
試合を動かしたのは、川辺の一発だった。開始早々の8分、フリーランニングでペナルティーエリア内に侵入。川又のヒールでの落としを受けると、迷うことなく右足を振った。「ピッチがスリッピーだったので、グラウンダーで狙った」という地をはうシュートをゴール左スミに突き刺さした。「前半、川辺のボールタッチは16回だった」と名波監督はその少なさを指摘したが、千載一遇のチャンスをしっかり決めてみせた。さらに2-1で迎えた55分にはカウンターから抜け出し、強烈なシュートを放つ。これがGKの股を通過し、ネットを揺らした。
ボールを持たせたら天下一品の川崎Fが相手である。必然的に自分たちの攻撃機会が減ることは分かっていた。だからこそ、“ここぞ”の場面で集中力を発揮できたとも言えるのではないか。指揮官は、背番号40のパフォーマンスを称える。「一人でドリブル突破とか、一人でゲームを作るという動きよりも、味方をうまく利用しながら輝いてほしいなと。それはもう2年半くらいずっと言ってきた。前への推進力という自分の良さをよく分かっているのと、周りを使いながら(のプレー)、というのが(いまは)うまくかみ合っている」
契約の関係上ピッチに立てない広島戦以外、今季ここまで全試合先発出場中だ。仲間からの信頼を感じながら自信に満ちあふれたプレーを見せており、心身の充実ぶりがうかがえる。「自分の仕事をしっかりやって、毎試合チームに貢献したい」と川辺は言う。その言葉どおり、彼は中心選手として働いている。そして、「シーズン前半戦のMVPは(川辺)駿」という名波監督の評価がそれを裏づける。相手にとっては今後も、無視できない存在となっていくはずだ。(青木 務)