覚悟と意地で上回った甲府。11試合ぶりの勝ち点3
2カ月以上なかったゴールが決まった瞬間は、割れるような歓声と感情が爆発した中銀スタジアム。エデル・リマが最終ラインから持ち上がると、最後はウイルソンがペナルティーエリアに侵入し、狭いコースを見つけ出してコンパクトに振り抜いた。この日2本目のシュートは、三浦とファビオの間を抜いてファーのサイドネットに突き刺さった。決まった時間も良かった。これが前半ならG大阪にガソリンを給油するようなゴールになったかもしれないが、88分のゴールは焦りをもたらすのに最適な時間帯。G大阪は立ち上がりから“らしさ”を発揮して長沢やファン・ウィジョを生かすクロスで脅威を与え続けていたが、甲府の守備にも高いレベルでのオーガナイズがあった。格上のG大阪が攻め切れなかったというよりもG大阪のストロングポイントを、甲府が新井を中心にしっかりと消していた印象だ。
倉田の言うように「ダービーに比べるとアグレッシブさや気持ちが少なかった」面が迫力不足につながったかもしれない。しかし、内容の進化があっても10試合未勝利、6試合無得点と長い間苦しみ抜いた甲府の覚悟や意地が上回ったとも言える。センターラインを入れ替えたG大阪対策も効果があったし、今季1得点とくすぶっていたウイルソンとドゥドゥをリーグ中断期間に個別のやり方で再生させたチームの取り組みもパンチのあるシュートにつながった。
J1残留ラインの15位を挟んで勝ち点20前後で生き残りの争いを続ける下位グループだが、甲府が得た11試合ぶりの勝ち点3は、大きな自信と勇気につながる。ひるがえって、上位のG大阪はダービーの勝利を台無しとする取りこぼしになってしまった。(松尾 潤)