3週間のリーグ中断期間、吉田監督はウイルソンの申し出を受けて、期限を設けずに別メニューのトレーニングを許可した。佐久間悟GMの口ぶりからはウイルソンに対して見切りをつける可能性も感じていたが、吉田監督はウイルソンの可能性をまだ信じていたのだと思う。
5月末、佐久間GMが招聘した理学療法士(PT)の木村マルコス・トシフミ氏とともに、ウイルソンは2部練習の別メニューに取り組んできた。グラウンドで見かけるウイルソンはゆっくりとランニングをしている姿が多かったが、目に触れない時間は木村PTと別の施設で徹底して追い込んだ。フィジカルコーチとは職分が重なる部分もあるが、木村PTは、ボールを使わせずに限界まで追い込んで疲れた状態でシャープに動けるか、動きのパターンを意識させてきた。コンディションを上げるという概念ではないし、体重が何kg落ちたから良くなったというものでもない。その成果はG大阪戦の一振りに出ていた。
甲府に加入したときからコースを狙って流し込むようなシュートのうまさは発揮していたが、重さが取れてシャープな動きが戻ってきたのは最近のこと。中断期間のトレーニングマッチにも出場せず、黙々と別メニューをこなしているときのウイルソンは寂しそうな顔をすることがあったが、ドゥドゥとも支え合っていたし、ポルトガル語が分かる土屋がウイルソンに寄り添うなど、緩やかにみんなで支えてきた。
規模の大きなクラブなら内外の風当たりも耐えられないくらい強くなっていたと思うが、この1本がどうウイルソンの自信を高めてゴールを増やしていくのか楽しみだ。(松尾 潤)