二つのPKと勝利への渇望で悪い流れを押し切った長崎。再び戦う集団へ
1カ月以上前から、高木監督にはずっと気になることがあった。それはオフ明けのトレーニングで、チームのミスが多いことである。「入りが良くない」。そう監督の口から聞いたのは1度や2度ではない。トレーニングの問題はいずれ必ず試合にも影響を与えていく…。改善は急がねばならない。
毎夏恒例のペーロン体験や、トレーニング強度の調整など、流れを変えようとさまざまな試みが行なわれた。だが流れは変わらず、第24節の横浜FC戦、前節の岡山戦では立ち上がりに失点を喫して連敗。岐阜戦前のトレーニングでも状況は変わらなかった。「連敗して雰囲気も重い」(幸野)という中で、苦悩した高木監督がチームに求めたのは全力で戦うことだった。そして、それに選手たちは応えた。
試合の立ち上がりからチーム全体で出足鋭くプレスを掛け、主導権を一気に掌握。フィニッシュの精度を欠いて得点できない時間はあったものの、31分に澤田が獲得したPKを幸野が決めて先制に成功。先制後「結果的に後ろに重くなった」(碓井)ことで、クリスチャンに同点ゴールを許してしまったが、後半から走力を生かして修正に成功すると、ベンチも攻撃的な選手を相次いで投入して攻めに出る。それでも必死に守る岐阜の前にゴールをこじ開けられずにいたが、後半ロスタイムに入るとき「自陣に戻るな」と高木監督が指示したように、選手の積極的な姿勢が再びPKを呼び込み、ついに勝ち越し。連敗を脱するとともに、ホームでの連続無敗を9とした。
確かにまだミスも多いし、先制後の試合運びにも課題はあった。だが、“勝ちたい”という気持ちで悪い流れを押し切ったことで、チームは再び、戦う集団として成長したはずだ。(藤原 裕久)