22試合を終えて、わずかに17失点。直近の3連勝はすべて無失点ゲームで、完封試合の数も磐田に次ぐリーグ2位の『9』となった。伝統の堅守は今季も健在だ。
前々節・新潟戦(2○0)、前節・札幌戦(2○0)、そして1-0で勝利した今節・鳥栖戦に共通するのは、すべての試合で決定機を作られていること。結果としてクリーンシートを続けているが、危ない場面は存在している。
そこに立ちはだかるのがGK飯倉だ。ゴールに絡む活躍を見せ続けている左SB山中は「(飯倉)大樹くんがファインセーブで止めてくれているので充実感はない」と浮足立つことなく、同時に守護神への感謝を口にした。
マッチレポートでも触れた15分の被決定機は、シューターの田川との距離がかなり近かった。ペナルティーエリアに侵入し、もうすぐゴールエリアという地点からのシュートは、低い弾道で反応が難しかったはず。しかし飯倉は「相手が左利きなのは分かっていたし、コースも予測できていた」と涼しい顔で振り返る。タイミングを見極め、左手一本でスーパーセーブ。終わってみれば、これがこの試合最大のピンチだった。
背番号21の貢献は守備だけにあらず。横浜FMは低い位置からのビルドアップを志しているため、ゴールキック時は飯倉がパス回しの起点となる。主に両CBへの球出しで攻撃がスタートするわけだが、相手が高い位置からプレッシャーを掛けてきた場合、中距離のフィードが重要になる。ここでボランチや両SBに正確なキックを蹴れないGKでは攻撃が始まらない。これには普段あまりGKについて言及しないエリク・モンバエルツ監督も「アンダイレクトでつなぐことを徹底して、それで相手を超えた。その中で特に(飯倉)大樹が良い貢献をしている」と舌を巻くほどだ。
今シーズンのハイパフォーマンスぶりには、厳しい職人肌の松永成立GKコーチも「今年の(飯倉)大樹は良い。リーグでもかなり高い位置にいる」と賛辞を惜しまない。39歳という年齢で守備を支える中澤がフォーカスされるのは当然だが、その後方で最後の砦として構えるGKを忘れてはいけない。(藤井 雅彦)